
地元のショッピングセンターに入っている照明店。「秋灯(しゅうとう)」という季語があるが、そのどこか寂しげな明かりも、沢山集まると、透明感のある華やぎを感じる。買い物客で賑わっている他の店の中で、その店だけがしんと静まり返っていた。

地元のショッピングセンターに入っている照明店。「秋灯(しゅうとう)」という季語があるが、そのどこか寂しげな明かりも、沢山集まると、透明感のある華やぎを感じる。買い物客で賑わっている他の店の中で、その店だけがしんと静まり返っていた。
夜になると感じられる寒さ。晩秋になると、日中は感じられないが、夜になると冷え込んで寒さを感じるようになる。昼はまだ過ごしやすい時季の夜の寒さである。単に「寒し」といえば冬の季語。


「泡立草(あわだちそう)」といえばはキク科アキノキリンソウ属の多年草で、もともと日本の山野に自生していた山野草の一つ。秋になると、可憐な黄色い小さな頭状花を咲かせる。一方、近年は、北米原産の「背高泡立草(せいたかあわだちそう)」が都市部の空き地や河川敷では目につくようになってきている。北米原産の方は背が高く、猛々しい印象。俳句で単に「泡立草」と言った場合、両者のどちらを詠んでいるのかを読み取る必要がある。
今日近くの線路ぎわで見かけたのは「背高泡立草」。この花を見かけると、秋もいよいよ深まってきた感じがする。
秋の夜に灯す明りのこと。「秋灯(しゅうとう)」「秋ともし」ともいう。ひんやりとした長い夜を灯火のもとで静かに味わい、家族や友人と語らい、ひとり書に親しむ。「灯火親しむ」は関連季語。

「夏」は立夏から立秋の前日までの約3ヶ月間。気象学では夏至から秋分まで。春夏秋冬の四季の中で最も暑く日差しが強い。
掲句は、戦災地パレスチナのガザの夏を詠んだ作品。ガザ地区は周知のように、中東のパレスチナにある地中海に面した細長いエリア。2023年10月に始まったハマスとイスラエルの軍事衝突により、一般市民を含む多くの人々が亡くなっている。そのガザ地区の夏を、「干葡萄のごとき乳房」によって端的に描出した。赤子に乳を含ませようとしても、その乳房は干葡萄のように萎んでしまっているというのだ。俳句は戦争・戦禍に対して無力だが、それを承知のうえで、詠まずにはいられない思いが作者にはあるのだ。『俳句四季』2025年11月号。