炎天を来て祭壇に火を供ふ

「炎天」は太陽の日差しが強く、焼け付くような真夏の空のこと。

掲句は今年(令和7年)の6~7月に南仏を旅行したときの作品。日本と同様、その頃のヨーロッパも熱波に見舞われていた。コートダジュールからプロヴァンスにかけてのエリアを巡る中で、多くの教会や大聖堂の内部を見る機会があったが、その日は地中海沿岸の港町ヴィルフランシュ・シュル・メールのサンピエール礼拝堂やサンミシェル教会を訪れた。礼拝堂の朝の祭壇(さいだん)には、礼拝に来た人たちの蠟燭の灯が二、三ともっていた。キリスト教信仰とは無縁の私だが、その地に住み、心の拠り所として日々教会に親しんでいる人々の心持ちを想像してみた。教会の天井辺りに鳥の巣があるらしく、雛鳥の声が時折こぼれてきた。令和7年作。

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