「滴り」は山中の岩の裂け目から、或いは蘚苔類を伝って、滴々と、又は細く糸のようにこぼれ落ちる水をいう。山道へ分け入り、疲れを覚える身に、滴りの一滴一滴は涼感を誘う。
掲句は円(つぶ)らかな「滴り」に健やかな命のかがやきを認めての作品。この句の背景には、自身が、或いは身近な人が健やかに齢を重ねていることに対する自祝の思いがあるのかも知れない。眼前の「滴り」は、命の光を放ちながら一滴また一滴とこぼれ落ちてゆく。『俳壇』2025年10月号。
「滴り」は山中の岩の裂け目から、或いは蘚苔類を伝って、滴々と、又は細く糸のようにこぼれ落ちる水をいう。山道へ分け入り、疲れを覚える身に、滴りの一滴一滴は涼感を誘う。
掲句は円(つぶ)らかな「滴り」に健やかな命のかがやきを認めての作品。この句の背景には、自身が、或いは身近な人が健やかに齢を重ねていることに対する自祝の思いがあるのかも知れない。眼前の「滴り」は、命の光を放ちながら一滴また一滴とこぼれ落ちてゆく。『俳壇』2025年10月号。
日本の家屋において、涼しさを求めて風通しを良くした開放的な座敷のこと。障子や襖を取り外して葭戸(よしど)に替えたり、簾(すだれ)を吊るしたりして夏向きにしつらえる。

夏の夜、灯火に集まってくる虫のこと。蛾をイメージすることが多いが、カナブンやコガネムシなどの甲虫類も含まれる。カナブンが翅音をたてて明るいガラス窓に突き当たったり、蛾が鱗粉をまきちらしながら街灯や誘蛾灯、室内の電灯などに飛んできたりするさまは夏の夜ならではの光景。

「秋霖」は9月中旬から10月上旬頃降り続く長雨のこと。秋雨前線が停滞することで起こる。梅雨のようにしとしとと雨が降り続く。
掲句は神田神保町のとある古書店の二階で、絵本を立ち読みしていて授かった一句。しばらく仕掛け絵本のメルヘンチックな雰囲気に浸った後外に出ると、曇り空から雨粒が落ちてきていた。平成16年作。『春霙』所収。
櫨(はぜ)の木はウルシ科の落葉高木。秋の紅葉が美しく庭木として植えられるほか、果皮から蝋をとるためにも栽培される。秋に大豆ほどの卵形の実が生り、熟れると緑色から濁ったような黄色に変色する。なお、「櫨ちぎり」(秋季)は櫨の実から蝋をつくるため、熟れた櫨の実を収穫すること。
