「田水沸く」は田の水が強い日光を受け、熱せられてぬるま湯のようになること。機械化が進んだとはいえ、炎天下での草取りなどの農作業は厳しい。実際に田んぼに入ると、水が非常に熱く感じられるのだろう。
掲句は、長野の野辺山高原に行く途中、小淵沢で途中下車しての作品。駅前商店街を抜けると一面の青田が広がり、強い日差しを受けて田圃の水が生温くなっていた。正面の甲斐駒ヶ岳(甲斐駒)は分厚い雲を被ったまま。田圃から立ち昇る温気が、凝って雲になったように思えた。平成19年作。『春霙』所収。
「田水沸く」は田の水が強い日光を受け、熱せられてぬるま湯のようになること。機械化が進んだとはいえ、炎天下での草取りなどの農作業は厳しい。実際に田んぼに入ると、水が非常に熱く感じられるのだろう。
掲句は、長野の野辺山高原に行く途中、小淵沢で途中下車しての作品。駅前商店街を抜けると一面の青田が広がり、強い日差しを受けて田圃の水が生温くなっていた。正面の甲斐駒ヶ岳(甲斐駒)は分厚い雲を被ったまま。田圃から立ち昇る温気が、凝って雲になったように思えた。平成19年作。『春霙』所収。
カヤツリグサ科の多年草。本州中部以北の川岸や池畔に稀に自生する。6、7月に花穂を出して垂れ下がる。カヤツリグサ科の菅(すげ)には多くの種類があり、おおかたは冬に枯れてしまうが、冬も枯れずに青々としている寒菅、深山寒菅、姫寒菅等は、「寒菅(かんすげ)」として冬季に分類されている。莎草菅は歳時記に掲載されていない。

夏に履く白い靴のこと。ズック、エナメル、革製などの種類がある。夏に履く靴が「白靴」とは限らないが、夏の装いには白い靴が似合うし、見た目にも涼しげだ。

粟(あわ)は東アジア原産のイネ科の一年草。稲、麦、黍(きび)、稗(ひえ)とともに五穀の一つで、世界各地で古くから栽培されてきた。花の後に黄色い実をつける。現在では、主として餅や菓子、小鳥の餌などに利用される。
掲句は、丈高く稔っている粟の穂に、夕月が光りはじめたとの句意。解説するまでもない作品だが、秋の夕暮れの情趣がそこはかとなく感じられると思っている。バス停でバスを待っているとき、後ろが一面の粟畑だった。暗くなる前の薄明のひと時。平成21年作。『春霙』所収。
ほぼ90日間にわたる秋の中で、仲秋に当たる月。空はいつしか高くなり、朝夕はひんやりとはするものの、彼岸(9月23日前後)頃までは雨がちで、また、残暑が厳しい。台風が多い月で、稔りの時期を前にして日本各地に被害をもたらすことも多い。彼岸を過ぎる頃から秋は深まり、夜には虫の声も聞こえてくる。月を愛でる月である。
