北米原産のオオバコ科の多年草。「ペンステモン・ジギタリス」ともいう。日本には大正時代に園芸用に導入され、その後野生化しているものもある。初夏から夏にかけて、茎頂に総状花序を作り、桃色がかった白色の筒状の鐘形の花を咲かせる。歳時記には掲載されていない。なお、夏の季語になっている「ジギタリス」はヨーロッパ原産の多年草。

北米原産のオオバコ科の多年草。「ペンステモン・ジギタリス」ともいう。日本には大正時代に園芸用に導入され、その後野生化しているものもある。初夏から夏にかけて、茎頂に総状花序を作り、桃色がかった白色の筒状の鐘形の花を咲かせる。歳時記には掲載されていない。なお、夏の季語になっている「ジギタリス」はヨーロッパ原産の多年草。

フランスはワインの国である。私たちが旅したのは、コート・ダジュールからローヌ・アルプにかけての国土のほんの一部分に過ぎないが、旅中のワインを買う機会、飲む機会を通して、また、葡萄畑を散策するなどして僅かに触れることができたフランスワインの一端に触れてみたい。

フランス国内にはシャンパーニュ、ボルドー、ブルゴーニュ、アルザス、ロワール、ローヌなど多くの一級のワインの産地がある中で、プロヴァンスと言えばロゼワイン。上の写真は、最初に宿泊したニース近郊のホテルで、オーナーからもてなし用に頂いたもの。地元の生産者の名がラベルに大きく記されているのがいかにもフランスらしい。ロゼのサーモンピンクの淡い色合いは、地中海の明るいブルーとよく調和する。暑い最中を出歩いた後、私たちは食事をとりながら冷えたワインを楽しんだ。マティスの画風にも通じる軽快でフルーティなワインだった。
ニース郊外のホテルに数日間滞在していて気付いたことだが、周辺の住人たちは、(特に週末の)夕刻になるとそれぞれの自宅のベランダや庭で、食事を楽しんでいた。南仏の夏の日暮れは遅く、夜10時を過ぎるまで日の暮れる気配がないのだが、そんな中いつまでも賑やかな話声が続く。その卓上には当然ロゼのボトルとワイングラスが置いてあるのだろう。ようやく涼しくなってきた風は潮の香と香しい花の香りを運び、南仏の夏のよろしさを実感させてくれる。ロゼワインは、屋外で草木の匂いを感じ、海を眺めながら楽しむものなのだろう。

鷹の巣村ルシヨンでたまたま立ち寄ったとある店の光景。売り物のワインボトルの並ぶ向こうの窓に、プロヴァンスの田園風景がひらけていた。ここでは結局買わなかったが、ホテルに近い地元のスーパーで赤と白のワインを買い、一本のボトルを4人で3日かけて飲み終わるほどのペースで食事の時に飲んだ。安いワインでもコクのあるしっかりした味わいだった。

プロヴァンスの葡萄畑。このほか鷹の巣村の石造りの家々の壁にも、観賞用に、或いは日除けを兼ねて、葡萄を這わせている光景を度々目にした。 地中海沿岸は、春から秋にかけて雨が少ないため病害を受けにくく、夏は日照に恵まれるなど葡萄栽培に適した気象条件であることを、改めて認識した。もっとも、近年ヨーロッパを襲う熱波が、葡萄栽培にどのような影響があるか、心配ではあるが・・・。

プロヴァンスのホテルに滞在中の一日、私たちはワイナリー巡りをした。やや内陸部に位置し、ニースより暑さが厳しかったから、日の出の頃から車を走らせた。早朝だったため、ワイナリーの多くは門を閉ざしていたが、私たちはジゴンダス(Gigondas)村の店で赤ワインを買い、ボーム・ド・ヴニーズ村でマスカットワイン(白ワイン)を買うことができた。どちらの店でも、カウンターのところで地元のワインを試飲させてくれた。下の写真はその時買ったマスカットワイン(甘口)。ボトルのラベルに、ドメーヌ・デ・ベルナルダンとの生産者名が見える。ローカルな生産者の顔が見えるところが、地産地消のフランスらしいところ。

甘口のマスカットワインは、食前酒として愉しんだ。日本で食前に飲む梅酒のように、その濃厚で芳醇な味わいは、少量でも満足できるものだった。後日飲んだ辛口のマスカットワインのフルーティーで爽やかな味わいも忘れ難い。暑さが厳しく、冷房の効いたホテルの室内で冷えたワインを飲みながら、旅中の英気を養った。
蓮(はす)はハス科の多年草。食用・観賞用として各地で栽培されている。初夏の頃、小さな葉を水面に浮かべている(蓮の浮葉)が、その後成長し水面を抜き出で巻葉となり、晩夏の頃直径60センチもの円形の葉となる。葉には葉脈が四方に走り、表面張力により水を弾く性質がある。「蓮青葉」ともいう。

「鳥の巣」は鳥が卵を抱き、孵化した後、雛が巣立つまで育てる場所のこと。樹木の上に巣を作る鳥が多いが、人家の屋根瓦の下、石垣の穴、橋桁の下などに作られることもある。それぞれの鳥の名を用いて、「鷺の巣」「雀の巣」などともいう。椋鳥(むくどり)は本来は竹林や雑木林に巣を作る鳥だが、都市化が進んだことで、天敵から身を守れる壁の隙間、雨戸の戸袋、天井裏、換気口、通気ダクトなどに巣を作るようになった。下の写真は公園の展示飛行機に巣を作った椋鳥。

「くちなし」は本州の中部以南に自生する常緑低木で、漢字表記では「梔子」。6、7月、枝先に香りのいい白色の六弁花を咲かせる。
掲句は梅雨の頃真っ白に咲いてたちまち黄ばんでゆく「くちなし」と、古びやすい言葉というものを取り合わせた作品。話し言葉であれ書き言葉であれ、話され書かれた言葉は、その時は新鮮に感じても、一日経つと古びてしまうことが多い。作句の現場であっても事情は同じだ。思い浮かんだ瞬間は手応えがあっても、一日寝かせて読み直してみると、何の感銘も覚えないことの方が多い。言葉という古びやすいものに、永遠の命を吹き込む難しさを日々感じている。令和4年作。