数十本の竹や木の骨を束ねて末広状にし要の一点で固定したものに、紙、絹、レースを張ったもので、夏、扇いで涼をとるために用いる。「扇子(せんす)」ともいう。団扇(うちわ)を折り畳みにしたものであるが、団扇が寛いだ場面で使われるのに対し、「扇」はよりフォーマルな場面で用いられることが多い。長年使い慣れたものが「古扇」。

数十本の竹や木の骨を束ねて末広状にし要の一点で固定したものに、紙、絹、レースを張ったもので、夏、扇いで涼をとるために用いる。「扇子(せんす)」ともいう。団扇(うちわ)を折り畳みにしたものであるが、団扇が寛いだ場面で使われるのに対し、「扇」はよりフォーマルな場面で用いられることが多い。長年使い慣れたものが「古扇」。

「蚯蚓(みみず)鳴く」は、秋の夜に土の中から聞こえるジーという螻蛄(けら)などの鳴き声を、昔の人がミミズの声と取り違えたことに由来する空想的な季語。発声器官を持たないミミズが鳴くことはないが、その声が聞こえるように思うところに、俳諧の趣がある。虚実さだかでないその微かな声に、秋の夜はしんしんと更けてゆく。
掲句は、平成22年8月末に角川学芸出版から発行された『井伏鱒二飯田龍太往復書簡』に収められている往復書簡400余通を順々に読みながら、その中に何通か欠落した書簡があることにそこはかとない関心を覚えての作。親愛と敬愛に満ちた両者の交友を証する書簡の数々を読み耽っていると、自ずから立ち昇ってくる交友の温もりに、私の心もあたたまる心地がした。平成22年作。
榎(えのき)はニレ科エノキ属の落葉高木。本州以南の山地に自生する。初夏の頃淡黄色の花を咲かせた後、直径7ミリくらいの球形の実が生り、晩秋の頃黄赤色に熟す。小鳥が好んで群がる。

桃(もも)は中国原産のバラ科モモ属の落葉樹。奈良時代に日本に渡来し栽培された。6月下旬から出荷される早生種は「早桃(さもも)」と呼ばれ夏の季語。水蜜桃や白桃などの晩生種は8月中旬頃出荷される。単に「桃」といえばこの晩生種を指し、秋の季語。早生種は果汁が豊富で柔らかく、晩生種は果肉が引き締まって甘みが強い傾向がある。「桃の花」は春の季語。
