秋の気分、秋らしい趣や秋の風情をいう。秋の風景や天候の中で揺れ動く心の働きが引き起こす情緒である。澄みわたった明るさの中に、物寂しさやしみじみとした感情を宿す。

秋の気分、秋らしい趣や秋の風情をいう。秋の風景や天候の中で揺れ動く心の働きが引き起こす情緒である。澄みわたった明るさの中に、物寂しさやしみじみとした感情を宿す。

「蝗(いなご)」はイナゴ科に属するバッタ類の総称。「螽」「稲子」とも表記する。体長は3センチほどで体色は黄緑色。実りの田に棲みついて、稲を荒らす害虫。捕まえて佃煮などにする。
掲句は、稔り田の傍らに立つ野仏の頭にたかった「蝗」をユーモラスに詠む。「あたま」「かしら」と言っても同義だが、「つむり」と言ったところに、野仏に対する作者の親しみと心の余裕が表れている。一匹の「蝗」を見かけてもそう目くじらを立てることはないのだ。一面の稲穂が波立って、今年の豊作を約束しているのだから。『俳句』2025年10月号。
「終戦日」は、8月15日。日本がポツダム宣言を受諾し、第二次世界大戦が終結した日。戦争の過ちを反省し、平和を願う日とされている。「終戦記念日」「敗戦日」「敗戦忌」などともいう。
掲句は終戦日の追悼の集いなどに参列しての作品だろう。靴底を通して、灼けたアスファルトの熱さが足裏に伝わってきたのだ。地面の熱さは、作者に、80年前のその日を思い起こさせた。当日は目に触れるもの、耳に聞こえるものが色々あったろうが、一句の焦点を足裏の熱さの感覚に絞ったところがいい。省略と単純化は俳句の骨法の一つ。『俳句四季』2025年10月号。
中南米原産のラン科の多年草。樹上につく着生植物だが、岩の上につくものや地上性の種もある。別名「雀蘭(すずめらん)」。開花期は品種によって異なるため季節感は薄いが、流通している品種の多くは秋から冬にかけて開花する。花色は黄、ピンク、オレンジなど。単に「蘭」といえば、東洋蘭を念頭に秋季に分類されているが、本種は歳時記に掲載されていない。
