月といえば秋の月である。秋の月は、春の花、冬の雪とともに日本の四季の美を代表する。単に月といえば秋の月を指すのは、秋から冬にかけて空が澄み、月が明るく大きく照りわたるから。
掲句はその澄みわたった月光の中で、「龍の骨」を拾ったという。龍は神話や伝説に登場する想像上の生き物。その骨が木っ端か何かのように、波に打ち上げられたものの中に交じっていたのだ。月の光にはこの世とあの世、現実と夢などの境界を取り払うはたらきがある。澄んだ月光のもとで、「龍の骨」を拾うことが、現実にあり得ることのように思えてくる。『俳句界』2025年9月号。

