「雲雀(ひばり)」はスズメ目ヒバリ科の留鳥(北海道を除く。)で、日本各地に広く分布する。繁殖期には、野原や畑地などに皿型の巣を作る。雄は空高く舞い、甲高い声でさえずる。
掲句は、牧草地に営巣している雲雀を見かけて詠んだもの。雲雀がさえずりながら青空を上って行ったとき、手に握っているペン軸(ペン先を取り付けるための棒状の柄のこと)がきらりと光ったとの句意。フランス絵画の歴史の中に「外光派」と呼ばれた一群の画家たちがいるが、私も作句の契機を戸外で得ることが多い。戸外に出ていると、予め頭の中で考えていなかった詩の恩寵を受けられるような気がする。そんな時は、忘れないようにその場でノートに書き留める。平成7年作。『河岸段丘』所収。

