ユリ科ユリ属の多年草。海岸の砂礫地や崖などに自生するほか、観賞用に栽培される。花弁の根本付近に少し隙間があることからこの名がある。夏、茎の頂に褐色の斑点を持つ花を上向きに咲かせる。園芸品種も多く、花色は橙色のほか、白、赤、ピンク、黄色など。歳時記には「百合の花」(夏季)の傍題として掲載されている。

「サンドレス」は肩、襟ぐり、背中を大きくあけた夏向けの女性用の洋服。高原の避暑地や海浜のリゾート地などでのレジャー着として用いられるほか、街中でも見かける。
掲句は夏の船旅の後の酔い心地を詠んだ作品。下船した後も、船の揺れが心地よく身体の中に残っているのだ。「サンドレス」を身に纏った心の華やぎと船旅の余韻。夏旅の一日が終わろうとしている安堵感も感じられる。『俳壇』2025年7月号。
麻、木綿などを素材にした夏向けの白い服をいう。裏地をつけず軽やかに仕立ててある。風通しがよく、見た目にも涼しげである。「夏服」の傍題としている歳時記もある。

「榊(さかき)」はツバキ科の常緑小高木で、暖地の山林に自生する。名の由来は、神と人との境の木、すなわち「境木(さかき)」の意であるとされる。枝葉を神棚や祭壇に供えるなど、神事には欠かせない。6、7月に、葉の腋から香りのある白い花を下向きにひっそりと咲かせる。花はやがて淡黄色に変わる。晩秋の頃には黒く小さな実をつける。

「サングラス」は夏の強い太陽光線、特に紫外線から目を保護するためにかける色付きの眼鏡。ファッションやアクセサリーとして用いることも多い。
掲句は齢を重ねた感慨を、この世の端に「長居」したと詠む。「長居」は同じ場所に長くとどまることで、作者がこの世で生を享けてから生きてきた歳月を指す。「この世の端」は抽象的な措辞だが、そこがどのような場所なのかを問うことはあるまい。老境の作者の胸中を吹き抜ける涼しい風が思われる作品だ。『俳壇』2025年7月号。