「一の午(いちのうま)」は「初午(はつうま)」ともいい、2月の最初の午(うま)の日に行われる稲荷神社の祭礼(午祭)。京都の伏見稲荷、大阪の玉造、愛知県の豊川稲荷、神戸の摩耶参などが有名だが、稲荷はもともと農事の神で、初午はその年の五穀豊穣を願うものだった。農家はこの日、地元の稲荷社にお神酒や油揚げ、初午団子を供えたりした。
掲句は、2月の上旬頃、地元の商業施設の屋上テラスから、秩父連山の方を眺めていての作品。屋上を吹く風はまだ冷たかったが、山稜の空は点々と雲をつらねて春の到来を感じさせ、その雲の賑やかさは、かつて見かけた稲荷神社の祭礼の賑わいを連想させた。晴天が続き空っ風が吹く関東平野に雲が増えてくるのは春の兆しの一つ。令和7年作。


