「驟雨(しゅうう)」は、夏の日の午後などに、急に降り出して大地に水しぶきを上げた後、しばらくすると止んでしまうにわか雨のこと。ときに雷をともなう。降り方は豪快で、止んだ後は涼しい風が吹きわたる。
掲句は甲斐小泉の信玄棒道を歩いたときの作品。信玄棒道は単に棒道(ぼうみち)ともいい、かつて武田信玄が北信濃攻略のために造った軍用道路。棒のように道がまっすぐ伸びていることからこの名がある。現在は自然散策路で、乗馬コースにもなっている。その日、実際に雨に遭った訳ではない。棒道に残っている馬蹄の跡は、戦国時代の武田の騎馬隊の行き来を思い起こさせた。平成15年作。『河岸段丘』所収。