「マスク」は白いガーゼなどで口や鼻をおおうもの。冬季に流行するインフルエンザなどの感染予防や寒さ、乾燥などから鼻や喉を守る。
日本にマスクが導入されたのは明治初期。当初は主として粉塵よけに利用され、大正年代のインフルエンザ(スペイン風邪)大流行を契機に感染予防としての役割が注目を集めるようになった。その後、マスクは徐々に普及し、昭和に入り、インフルエンザが再び猛威をふるった昭和9年に、マスクの着用が流行した。その後、インフルエンザが流行るたびにマスクの普及が進んだ。
マスクして我を見る目の遠くより 虚子 など、マスクが俳句に詠まれ始めたのはおおむね昭和になってからである。
新型コロナウイルス感染拡大による生活様式の変化により、マスクは日常生活の一部になった。冬の季語だが、マスクが通年化するに伴い、季節感が薄れていることは否定できない。新年、春、秋など、他の季節と結びつけて柔軟に詠まれる傾向もある。