「春夕(はるゆうべ)」は春の日の暮れる頃のこと。一日は終わりに近づいたが、陽の気配がまだうっすらと残っている。その薄明に少しずつ闇が入り交じってくる。
掲句は、「春夕」の伝統的な情緒に凭れることなく日と山の関係を端的に表現して、春の夕暮れ頃の薄明を読者に見せてくれる作品。夕日は既に山の向こうに沈んだが、まだ山の向こう側にとどまっている。山の端の残照が、山の向こう側の落日の存在をありありと感じさせるのだ。事実を直叙しただけの簡潔な描写が作品の力になっている。『俳句』2025年6月号。
「春夕(はるゆうべ)」は春の日の暮れる頃のこと。一日は終わりに近づいたが、陽の気配がまだうっすらと残っている。その薄明に少しずつ闇が入り交じってくる。
掲句は、「春夕」の伝統的な情緒に凭れることなく日と山の関係を端的に表現して、春の夕暮れ頃の薄明を読者に見せてくれる作品。夕日は既に山の向こうに沈んだが、まだ山の向こう側にとどまっている。山の端の残照が、山の向こう側の落日の存在をありありと感じさせるのだ。事実を直叙しただけの簡潔な描写が作品の力になっている。『俳句』2025年6月号。
カサゴ目アイナメ科の硬骨魚。地方によってアブラメ、アブラウオ、シジュウ、ネオなどとも呼ばれる。成長段階や棲息場所、産卵期などによって体色の変異が著しいが、多くは褐色。産卵期前に栄養を蓄える4、5月頃が旬で、椀種やちり鍋、煮魚などに供される。

「桜桃(おうとう)」は西アジア原産のバラ科の落葉高木で、西洋実桜のこと。春に白い五弁花が咲いた後、6月頃実が黄赤色に熟す。一般的には「さくらんぼ」と呼ばれている。明治以降日本へ導入された後、主に山形県で育種が行われ、佐藤錦や紅秀峰等の品種が作出された。生食のほか、缶詰やリキュール酒にも利用される。

「花種(はなだね)」は草花の種のことで、「種物(たねもの)」の傍題。自家採種の場合は、前年採取した種を軒先や天井などに吊し乾燥させて、春になるまで保存する。また、種物屋や花屋の店頭に花の写真を印刷をした草花の種の入った紙袋が並ぶのも春らしい光景である。
掲句は「花種」を花壇や植木鉢などに蒔くところを詠んだ作品。つまんでは蒔いてゆくときの、指先に触れる細かい「花種」の感触を「むずむず」と表現した。この擬態語(オノマトペ)は、作者の「花種」に寄せる期待感や陽春の浮き立つような心持ちをも感じさせて効果的だ。『俳句』2025年6月号。
中央アジア及び中近東原産のマメ科の一、二年草。食用として広く栽培されている。3、4月頃に花が咲 き、初夏に莢を結ぶ。実豌豆と莢豌豆の二種類があり、未熟の種子を食用にするグリーンピースなどの実豌豆は豆ご飯などに、若い莢を食用にする莢豌豆は散らし寿司などの彩りに利用される。莢が柔らかいのは絹さやと呼ばれる。「豌豆の花」は春の季語。
