梣(とねりこ)は日本原産のモクセイ科の落葉高木。本州中部以北の山地に自生する。仲春の頃新芽を出し、葉は長卵形の小葉からなる羽状複葉。雌雄異株で、4、5月頃葉より先に淡緑色の小花を円錐状につけ、その後長い翼のある実を結ぶ。「木の芽(このめ)」の傍題。

北アフリカカナリア諸島原産のキク科の多年草。鉢植えにして鑑賞する園芸品種。晩春の頃、赤・紫・藍・白などの花が咲く。 「シネラリア(Florist’s Cineraria)」の名が日本語では「死ね」に通じることから、一般にはサイネリアと呼ばれることが多い。葉がフキに似ることから「蕗菊」「蕗桜」の別名がある。「富貴菊」とも呼ばれる。

「虹」は雨の後、太陽と反対側の空に現れるアーチ状の七色の帯。夏の驟雨の後などに現れることが多いので夏の季語。虹がアーチの片側だけ見えるのが「片虹」。
掲句は世界の各地で起きている戦争を詠んだ作品。といっても、特定のどこかの戦火の地を念頭にしたものではないだろう。今、作者の眼前にあるのは片虹。それを「片足で立ちたる虹」と表現した。その措辞は、自ずから、戦禍で片足を失った傷病兵の姿を連想させる。眼前の片虹から「戦場」へのイメージの飛躍が実感をもって読者に伝わるのは、その措辞の効果だろう。戦争に対して詩は無力だが、それでも詠まずにはいられないとの思いが、掲句の「よ」の詠嘆に表れている。『俳壇』2025年5月号。
「雪掻(ゆきかき)」はシャベルやこすきなどを使って積もった雪を掻きのけること。今は除雪車などで広い範囲の除雪が出来るようになったが、路地や庭先などの「雪掻」の作業は雪国では日常的に行われている。
掲句は冬季の「雪掻」を詠んだ作品。シャベルが雪の底の土にとどいたとき、さっと懐かしい土の匂いがしたという。それは雪に埋もれて暮らす人々にとって、春がそこまで来ていることを思わせる匂いだろう。雪国人の生活実感が過不足なく詠み込まれている。『俳壇』2025年5月号。
蘆(あし)の芽が伸びて若葉になったもの。蘆の生長は早く、春先の角のような芽はどんどん丈を伸ばし、晩春の頃青々とした若葉となる。木々の若葉は夏になってからだが、蘆に限らず「草若葉」は春の季語。青々とした蘆の若葉が露を光らせながら初々しく風にそよぐ様は、夏の近いことを思わせる。
