晩春の頃、馬鈴薯(じゃがいも)の種イモを直に畑に植えること。前年収穫した馬鈴薯を保存しておいて、それをいくつかに切って種イモとして用いる。なお、サトイモは「芋植う」(春季)、サツマイモは「甘藷植う」(夏季)という。

晩春の頃、馬鈴薯(じゃがいも)の種イモを直に畑に植えること。前年収穫した馬鈴薯を保存しておいて、それをいくつかに切って種イモとして用いる。なお、サトイモは「芋植う」(春季)、サツマイモは「甘藷植う」(夏季)という。

俳人高浜虚子(本名、清)の忌日は4月8日。昭和34年のこの日、85歳で没した。
作者は虚子の曾孫に当たる人。掲句は、虚子の忌に際して仏壇や墓域に手向けた花々に、虚子に相応しい「晴れ」の色を認めたとの句意。「晴れ」とはもちろん天気がいいことだが、「褻(け)」に対する「晴れ」でもあり、表立って晴れやかなことをも意味する。円熟期以降の虚子は、俳人として「晴れ」の道を進んだといっていい。また、「晴れ」の色は、〈俳句は極楽の文学である〉との虚子の俳句観も思い起こさせる。虚子は、その著書『俳句への道』の中で、「如何に窮乏の生活に居ても、如何に病苦に悩んでいても、一たび心を花鳥風月に寄することによってその生活苦を忘れ病苦を忘れ、たとい一瞬時といえども極楽の境に心を置くことが出来る。俳句は極楽の文学という所以である」と記した。「晴れ」という虚子の生涯を集約するような一語が、一句の中で画龍点睛の働きをしている。『俳句四季』2025年5月号。
アイナメ科の海産の硬骨魚。東北地方・北海道で捕れる。体は細長く全長約40センチくらい。灰色でやや不明瞭な淡褐色の横走斑文がある。旬は春から夏。鮮度が落ちやすい魚のため、鮮魚での流通が少なく、ほとんどが干物に加工される。一部の歳時記には春の季語として掲載されている。

「藪虱(やぶじらみ)」はセリ科の越年草。全国の林、竹藪の縁、道端、土手などに自生する。茎は長く伸びて先端で枝分かれする。5~7月に白い五弁の小花を咲かせる。秋に生る実は密生した刺(とげ)の先が鉤状に曲って、虱のように動物や衣服に着く。

「新樹」は若葉におおわれる初夏の木立。みずみずしい新樹の放つ光が「新樹光」。夏の到来を思わせる命のかがやきだ。
掲句は、新樹のみずみずしい光が四囲を明るくするような季節に、会議室で会議が進められている場面。「眼鏡外して本題に」というのは齢を重ねた人の日常の自然な動作。それをさり気なく詠み込んで味わいのある一句になった。窓外の「新樹光」と室内の鹿爪らしい会議の対照が鮮やかだ。『俳句四季』2025年5月号。