榠櫨は中国原産の果樹。また、秋につける果実のこと。春に淡い紅色の花をつけ、秋には黄色のごつごつした実をつける。3月頃、枯枝の先の芽がほぐれ始める。萌黄色に微かに紅を含んでいる。「木の芽」の傍題だが、歳時記には載っていない。

榠櫨は中国原産の果樹。また、秋につける果実のこと。春に淡い紅色の花をつけ、秋には黄色のごつごつした実をつける。3月頃、枯枝の先の芽がほぐれ始める。萌黄色に微かに紅を含んでいる。「木の芽」の傍題だが、歳時記には載っていない。

「きりたんぽ」は秋田地方の名物料理。ご飯を餅のように半つぶしにし、杉串に円筒形にぬりつけて焼き上げる。鶏肉、牛蒡、芹などとともにだし汁で煮て食べる。
掲句は秋田への旅吟だろう。しんしんと冷えてゆく陸奥の空に、星々が次々と現れては光を放つ。「山脈の星を放てる」との山脈を擬人化した大胆かつ簡潔な措辞は、昂揚した旅心の賜物。旅先での「きりたんぽ」を囲んでの歓談の様も彷彿とする。『俳句』2025年4月号。
「青木」は、本州、四国の暖温帯林下に分布する日本特産の常緑樹。花は単性花で、雄花と雌花に分かれ、それらが別々の個体につく雌雄異株。春になると花芽・葉芽がほぐれ始める。花が咲くのは晩春の頃。「青木の芽」は「木の芽」(春季)の傍題。下の写真は雌花の芽。

南ヨーロッパ原産のキク科の一年草又は越年草。中国を経由して江戸時代に日本に渡来したとされる。晩春の頃、菊に似た黄色または橙赤色の花をつける。花の形と色を金の盃に譬えてこの名がある。花期が長いことから、「常春花」「長春花」「ときしらず」などとも呼ばれる。朝開き夕方つぼむ習性がある。

「龍(竜)天に登る」は中国の古代伝説に由来する季語。龍は想像上の動物で春分の頃に天に登り雲を起こし雨を降らせるとされる。空想の産物だが、鬱勃とした春の生気を感じさせる言葉。
掲句は、春分の頃天に登っていく龍と机上の虫眼鏡を取り合わせた作品。虫眼鏡は 小さい物体を拡大して見るために用いる拡大鏡のこと。老眼が進んで、ものを読んだり調べ物をするとき、虫眼鏡が手離せなくなった。机上に置いたままの虫眼鏡は、自らの老いの証でもある。だが、季節は着実に進み、春も半ばともなれば、淵に潜んでいた龍も天に登る頃。老いの意識と春の鬱勃たる生気の対照は、明暗半ばする春の気分そのものだ。『俳句』2025年4月号。