春になり繁殖期を迎えた小鳥たちの、求愛や縄張りを知らせる鳴き声のこと。私の近辺では初春の頃から真っ先に囀り始めるのがシジュウカラ、続いてホオジロやメジロ。ウグイスの初音が聞かれるのは仲春の頃。ヒバリの声を聞くのは春も深まってくる頃だ。それまでは藪などに潜んで地鳴きと呼ばれる短い鳴き声を発するだけだった小鳥たちが、春の繁殖期になると高い梢などに姿を見せ、美しい声で囀りはじめる。下の写真は芽吹き前の梢で囀りはじめたシジュウカラ。

春になり繁殖期を迎えた小鳥たちの、求愛や縄張りを知らせる鳴き声のこと。私の近辺では初春の頃から真っ先に囀り始めるのがシジュウカラ、続いてホオジロやメジロ。ウグイスの初音が聞かれるのは仲春の頃。ヒバリの声を聞くのは春も深まってくる頃だ。それまでは藪などに潜んで地鳴きと呼ばれる短い鳴き声を発するだけだった小鳥たちが、春の繁殖期になると高い梢などに姿を見せ、美しい声で囀りはじめる。下の写真は芽吹き前の梢で囀りはじめたシジュウカラ。

タラ目ドンコ属の海水魚。「どんこ」は北海道、東北地方での呼び名で、正式名は「チゴダラ」だが、関東近辺の魚売り場でも「どんこ」の名で出ている。本体の身よりも肝が尊ばれ、焼きもの、汁物として食される。どんこ汁、ドンコ鍋は三陸地方の名物料理。淡水魚にも「どんこ」(スズキ目)の名を持つ魚があり、紛らわしい。なお、歳時記には記載されていない。

初春、仲春、晩春の三春のうち仲春の頃、ほぼ新暦の3月に当たる。この時季の気候の変化は大きく、地域差も大きいが、季節が進んだり退いたりしながら、桜の開花に向けて一日一日春らしさが増していく。彼岸を過ぎると寒さも遠のき、薄暑を感じる陽気になることもある。「仲春」の傍題。

アブラナ科アブラナ属の野菜。「野良坊菜」と漢字表記されることもある。来歴は不明だが、闍婆(じゃば、現在のジャワ島)を経由してオランダの交易船が持ち込んだセイヨウアブラナの1種という説がある。江戸時代初期から東京都の西多摩地方や埼玉県飯能市周辺で栽培される。前年の初秋の頃に種をまき、畑に苗を植え付け、冬を越したのちに3~4月頃に成長してきた花茎を折り取って収穫する。茎の部分が美味で、おひたしや和え物にする。ローカルな野菜なので歳時記に掲載されてはいないが、春の菜類を総称する「春菜」として詠むことはできるだろう。なお、春の菜類の中で、「鶯菜」、「壬生菜」、「芥菜」、「水菜」などは春の季語になっている。

「料峭(りょうしょう)」は春の風がまだ肌を刺すように冷たく感じられるさまをいい、春寒とほぼ同義だが、より寒さの感覚が強く表に出ている印象がある。
掲句は湘南の江ノ島を訪れたときの作品。改めて調べてみると、令和5年の人口は292人。昼間参道等で見掛ける人々の多くは観光客だ。島民はひっそりと沿岸漁業に従事したり民宿を営んだりしているのだろう。観光客の溢れる道は、そこに住む人の生活道路でもある。春になったとはいえ、その日は寒々とした風が樟などの常磐木を鳴らしていた。実際には「一本の道で足る」といえるほど単純な町並みではないのだが、脇道や側道・間道は省略して、岩屋まで延びる参道と参道沿いの人々の暮らしに焦点を絞った。平成9年作。『河岸段丘』所収。