雲ほぐれやまず葡萄の花芽また

葡萄はブドウ科ブドウ属の蔓性植物。5、6月頃新しい蔓の葉と対生して円錐花序を出し、淡黄色の小さな花を多数つける。花芽が次第にふくらんでくるのは、晩春初夏の頃。

掲句は「白露」主宰だった山梨一宮町(現笛吹市)の廣瀬直人先生宅を訪れ、庭先の葡萄畑を散策したときの記憶を手繰り寄せての作品。晩春から初夏にかけての生気あふれる雲と細かい粒状の葡萄の花芽は、命あるものがお互いに呼び合っているような気配があった。芽かきや摘芯などの作業を選句の合い間にしているという話も、その時に伺った記憶がある。先生が亡くなった今となっては懐かしい思い出である。平成29年作。

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