桜は古来より詩歌に歌われ、人々に愛されてきた花。もともとは、山野に自生する野生種のみであったが、江戸末期から明治にかけて栽培種である染井吉野が誕生し、現在では、単に桜といえば染井吉野をさすことが多い。
掲句の桜は、近くの公園の染井吉野の古木。樹齢は定かでないが、その公園が米軍基地として使われていた頃から盛んに花を咲かせていたことを思えば、既に百歳近いのだろう。年々その時季になると見応えある花を咲かせてくれるが、近年は梢の蕾のつき具合などにかつての勢いがなくなり、樹勢の衰えは隠しようがない。その時も、今年も咲いているだろうかと多少危ぶみながら足を運んだ。「知己(ちき)」というのは知人、友人のことだが、私とその桜の古木の関係も、長い付き合いの「知己」のようなものだと歩きながら思った。令和6年作。


