雪は冬の美を代表する気象現象だが、豪雪地帯ではときに家を埋める程の大雪をもたらす。
「朴葉味噌」は朴葉の上に自家製の味噌をのせて焼いた飛騨高山の郷土料理。酒の肴にもなる。掲句は、傍らに囲炉裏の火を想像しつつ読み味わいたい作品。「朴葉味噌」をつつきながらの囲炉裏を囲む歓談に夜が更けてゆく。音もなく戸外で降り続ける雪のことが、ときどき話題に上る。だが、雪の深さを聞いても誰も慌てる人はいない。雪とともに生きる雪国人の諦念も感じられる。『俳句』2025年3月号。
雪は冬の美を代表する気象現象だが、豪雪地帯ではときに家を埋める程の大雪をもたらす。
「朴葉味噌」は朴葉の上に自家製の味噌をのせて焼いた飛騨高山の郷土料理。酒の肴にもなる。掲句は、傍らに囲炉裏の火を想像しつつ読み味わいたい作品。「朴葉味噌」をつつきながらの囲炉裏を囲む歓談に夜が更けてゆく。音もなく戸外で降り続ける雪のことが、ときどき話題に上る。だが、雪の深さを聞いても誰も慌てる人はいない。雪とともに生きる雪国人の諦念も感じられる。『俳句』2025年3月号。
ヨーロッパ原産のセリ科の一年草又は多年草。茎、葉、花ともに芹に似ている。野菜として栽培され、葉と茎を食用にする。主に夏に蒔き、冬から春に収穫する冬野菜。香気があり生のまま食すほか、スープなどの具材にする。16世紀末、朝鮮出兵の際に加藤清正が持ち帰ったといわれ、「清正人参」の別名もある。当初は薬用植物として扱われ、野菜として栽培され始めたのは明治時代以降。

フグの鰭を炭火で炙り焦げ目をつけて器に入れ、熱燗の酒を注いだもの。注いだ酒の表面に火をつけて飲むこともある。その琥珀の色合いや香ばしさを楽しむ。鰭の代わりにフグの刺身の一片を使うのが「身酒」。かつて、安酒を美味しく飲む手段として定着したという。

「熱燗」は体を温めるために熱く燗をつけた酒のこと。沸いた鉄瓶の湯に徳利をつけるのが定番だが、最近は電子レンジなどで温めることも多い。
掲句の作者は女性だが、性別に関わりのない山住みの人の生活実感がよく表れている作品だ。「熱燗」は冬の夜の愉しみの一つ。既に夜闇に紛れつつある「八方の山」。どれもこれも名のある山ではない。その何の変哲もない雑木山といつしか長い年月をともに過ごしている。「名無し山」という飾らないぶっきらぼうな措辞と、「熱燗」という酒の最も素朴な飲み方が響き合い、作品に益荒男振り(ますらおぶり)の味わいをもたらしている。『俳句』2025年3月号。
春の夜潤むように見える星のこと。冬の間中天を占めていたオリオン座やスバルに替わって、春になると獅子座や北斗七星が目立ってくる。大熊座・蟹座・海蛇座・乙女座・牛飼座などが春の夜空を巡る。水蒸気のために緩んだ夜気の中で、星々はやわらかな光をまとう。
