「ひやひや」は「冷やか」「ひえびえ」などとも言い、秋になって肌に直接覚える冷気、冷やかさのこと。「新涼」よりも本格的な秋の気配がある。
私の母の忌日は10月26日。母は5年前のその日自宅の台所で突然倒れ、その日のうちに病院で死去した。掲句は母が亡くなって5年ほど経ったその忌日に、秋の冷気を頬に感じての作。10月下旬といえば、いよいよ秋が深まっていく時季。井上主宰には、「母の不在の冷気は、どことなく肌に親しく、少しずつ悲しみが沁み渡っていくような、そんな感覚ではないだろうか・・・」と鑑賞していただいた。令和6年作。