龍太の句を拾う(26)

放鶏の白に驚く木瓜の花 龍太

「雲母」昭和61年6月号。句集未収録。

「木瓜(ぼけ)」は中国原産バラ科の落葉低木で、晩春の頃葉に先立って五弁の紅又は白の花を咲かせる。素朴で鄙びた印象のある花だ。

掲句は真っ白な鶏を屋外に放ったとき、木瓜の花が驚いたとの句意。白い「放鶏(ほうけい)」と緋色の「木瓜」の花が陽春の光の中で相照らし合う。白と緋色の色彩の対比の鮮やかさに加え、「驚く」という擬人法が、もろもろの命が生動する本格的な春の到来を生き生きと感じさせて効果的だ。

この句の難点を言えば「放鶏の白」という措辞の生硬さだ。字面から意味は分かるものの、ホウケイと音読されたときは何のことか意味が取り難い。作者にとって、俳句は愛唱されてこそ意味を持つ詩型であり、この句が句集から漏れた理由もその点にあったと思われる。

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