龍太の句を拾う(23)

白地着て陽の衰へを見てゐたり 龍太

「雲母」昭和60年8月号。句集未収録。

「白地」は「白絣」ともいい、白地に絣模様を織ったり染めたりした着物。昔より夏の着物として広く愛用されてきた。

掲句は家居の寛ぎにあって、落ちてゆく夕日を眺めている作者の姿を思わせる一句。作者の住まいから眺める夕日は、八ヶ岳と甲斐駒の間のいわゆる「諏訪口」に沈んでゆく。夏季ということもあって、夕日はいつまでも宙に止まり、ゆっくり衰えてゆく。時間の流れは緩やかだ。

作者が見ているのは「陽の衰へ」と同時に、自らの身の衰えでもある。この世の万物は生滅を繰り返し、生まれ出ては衰える。自然の中に身を置いていれば、陽の衰えも身の衰えも大きな天地の運行の中にある。

淡彩の作品のよろしさがあるが、句集からは漏れた。

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