女人やや多き一座も蛇笏の忌 龍太
「雲母」平成元年11月号。
「蛇笏忌」は10月3日。昭和37年のこの日、郷里の山梨県境川村で逝去。
タテ句の名手として知られ謹厳な蛇笏にも はつはるの紋十郎にをんなの香 蛇笏 など女人の香を詠んだ作品がある。掲句は、句会や講習会などだろうか。女人が多い一座の華やぎの中にいて、今日が蛇笏の命日だったことを思い出しているのだ。そういえば、蛇笏の作品の中にも「はつはる」などの句があり、女人の多い座の雰囲気が嫌いではなかったのだろう。既刊の句集に収録されている龍太の「蛇笏忌」の句は全部で19句あるが、多くは自然の景物と取り合わせた作品で、掲句は異色の作。
蛇笏の一面を突いた作品だが、句集には収められていない。