龍太の句を拾う(16)

風船がゆく元日の船の上 龍太

「雲母」昭和64年1月号。

「元日」は一年の始めの日。暦の上で新しく年の改まる正月の初日として重視される。「鶏日」ともいう。

掲句は旅吟。青々と晴れわたった元日の船の上を風船が飛んでいく。船客である作者は、船端から仰いで見送っている。「元日」の華やぎと作者の胸の内の淡々とした旅愁の交錯がこの句の味わい。単明な句柄だが、華やぎと旅愁の入り混じった情感が捨てがたい。過去の記憶を呼び覚ましての作品と思われる。

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