絡みもつれたまま枯れ果てている葎のこと。カナムグラ、ヤエムグラなどの蔓草に限らず、物に絡みついたまま枯れた蔓草全般を指す。夏に生い茂っていた葎が、冬になりすっかり枯れ果てて風に音を立てているのは侘しい光景。

絡みもつれたまま枯れ果てている葎のこと。カナムグラ、ヤエムグラなどの蔓草に限らず、物に絡みついたまま枯れた蔓草全般を指す。夏に生い茂っていた葎が、冬になりすっかり枯れ果てて風に音を立てているのは侘しい光景。

「立冬」は二十四節気の一つで、陽暦の11月8日頃。暦の上では冬の最初の日。まだそれ程寒くはないが、草木も街を行く人々の装いも心なしか冬めいて感じられる。
掲句を読んで、〈冬と云ふ口笛を吹くやうにフユ 展宏〉を思い浮かべた。作者の胸中にもこの句があったのかも知れない。単に「冬」と言うより「立冬」と言うとき、人はより冬の到来に身構えるのではないだろうか。リットウと声に出したときの気構えが感じられる作品だ。『俳壇』2025年1月号。
「冬の日」といえば主として冬の一日の意だが、「冬日」は冬の太陽やその日差しのこと。空の低いところにとどまる冬の太陽には弱々しいイメージがあるが、日の出が霜土や枯木枯草をほとばしるように染めるときなどは、「冬日」に華やぎを感じる瞬間だ。晴れわたった日の「冬日」は地上のものにあまねく及ぶ。

唐椿の一品種で、ツバキ属のなかでは葉も花も小ぶり。白、紅、しぼりなどの一重が半開きに咲く。文禄・慶長の役で朝鮮半島から笠原侘助という人物が持ち帰ったとの説があり、千利休が茶室に飾る茶花に好んで用いたという。

七種(ななくさ)は1月7日の人日の節句のこと。この日、粥に芹、薺(なずな)、御形(ごぎょう)、繁縷(はこべら)、仏の座、菘(すずな)、蘿蔔(すずしろ)の春の七草を刻み込む。七草は七種とも表記する。
掲句は七種の日、粥に刻み込む春の七草を詠んだ作品。芹や薺などそれぞれの色合いを持つ草々が、刻み込んで混じり合うと、萌黄色ひと色になったという。その色といい香りといい、自ずから新年の目出度さが感じられる。『俳壇』2025年1月号。