蜆はシジミ科の二枚貝。一年中、淡水や汽水で採取できる身近な小貝で、単に蜆といえば春季、夏の土用の頃の「土用蜆」は夏季、寒中の「寒蜆」は冬季に分類される。秋の産卵期を経て栄養が回復してきた「寒蜆」は特に薬効があるとされる。蜆には、河川で獲れる淡水産の「マシジミ」、琵琶湖特産の「セタシジミ」、海水と淡水が入り混じる汽水域に棲む「ヤマトシジミ」の3種類があるが、今は「ヤマトシジミ」が主流。

蜆はシジミ科の二枚貝。一年中、淡水や汽水で採取できる身近な小貝で、単に蜆といえば春季、夏の土用の頃の「土用蜆」は夏季、寒中の「寒蜆」は冬季に分類される。秋の産卵期を経て栄養が回復してきた「寒蜆」は特に薬効があるとされる。蜆には、河川で獲れる淡水産の「マシジミ」、琵琶湖特産の「セタシジミ」、海水と淡水が入り混じる汽水域に棲む「ヤマトシジミ」の3種類があるが、今は「ヤマトシジミ」が主流。

春の蟬村びと溶けむばかりなり 龍太
「雲母」昭和63年8月号。
「春の蟬」は蟬の中で最も早く鳴き出す蟬のこと。晩春の頃から山の松林などで鳴き出す。夏の季語である松蟬と同じ蟬であるが、鳴き出す時期をとらえて春蟬とよぶ。日を浴びて遠近に湧き上がるその声には、春の柔らかい情感がある。
掲句は春の蟬が鳴く好天のもと、畑に出たり道を通り過ぎたりする村びとの姿が、地に溶けんばかりに見えるとの句意。季節の推移に随順するような柔らかい春蟬の声は、この句の情景によく合っている。龍太自身も、村びとの一人としてこの地に溶けんばかりにして暮らしている。この時の作者の脳裏には、〈ふるさとの土に溶けゆく花曇 甲子雄〉の作があっただろう。掲句を句集に収めなかったのは、村びとが「溶ける」との把握の独自性に一抹の疑念があったからかも知れない。
フサカサゴ科に属する深海性の海魚。体色は赤みを帯びる。荒神眼抜、珊瑚眼抜などの種類がある。深海に生息するため、釣り上げると水圧の変化で眼がとびだすことからこの名がついたという。繁殖期を迎える12~4月が漁期。煮物などにする。

「師走(しわす)」は陰暦12月の異称で、ほぼ陽暦の1月に当たるが、他の陰暦の月の名称とは異なり、主として陽暦の12月に使う。年末の多忙な中で、クリスマスや忘年会などの行事が挟まり、たちまち過ぎ去っていく。今年(令和6年)の「師走満月」は12月15日。忙しさの合い間に、月を仰ぎながらこの一年を振り返ることもあるだろう。

返り花いま夜の国と昼の国 龍太
「雲母」昭和63年1月号。
「返り花」は小春日和に誘われて、春に咲く草木が季節外れの花をつけること。サクラ、ツツジ、ヤマブキ、タンポポなどに見られる。作者は庭先の日だまりの返り花に目を留めながら、地球上に今「夜の国」と「昼の国」があることを思っている。地球の自転のため、多くの国では夜と昼が交互に訪れる。ただそれだけの内容だが、海外に足を運んだことのない龍太にも、国外への旅に憧れる思いがあったのだ。眼前のささやかな返り花と遠い異国へと広がる想念の間の落差が快い。