秋風や弦月町の端にひそみ 龍太
「雲母」平成3年11月号に発表された作品。旅先で滞在した町だろうか。朝方或いは夕方ぶらりと外を歩くと、弦月が空の低いところに潜んでいたとの句意。弦月は半月のことで、夕空の西の方に出ている上弦の月と、明け方東の空に残っている下弦の月がある。そのどちらであるかで、若干味わいが異なるが、爽秋の風に吹かれて歩く作者の胸中の淡々とした旅愁が感じられるところがいい。
句意がやや漠然としているためか、句集『遅速』には収められなかった。
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