「四手(しで)」はカバノキ科の落葉樹。アカシデ、イヌシデ、クマシデなどがあり、日本各地の山地に自生するほか、雑木を活かした公園植栽や庭造りなどに用いられる。花穂や果穂が神社で使用される紙垂(しで)に似ていることからこの名がある。秋になると鮮やかな紅葉になるのはアカシデで、イヌシデは黄葉する。なお、歳時記には掲載されていない。

「四手(しで)」はカバノキ科の落葉樹。アカシデ、イヌシデ、クマシデなどがあり、日本各地の山地に自生するほか、雑木を活かした公園植栽や庭造りなどに用いられる。花穂や果穂が神社で使用される紙垂(しで)に似ていることからこの名がある。秋になると鮮やかな紅葉になるのはアカシデで、イヌシデは黄葉する。なお、歳時記には掲載されていない。

「日向ぼこ」は日だまりでじっと動かず暖まること。風のない日だまりでの冬の愉しみであり、家の内外は問わない。
掲句は縁側などで日向ぼこをしていると、傍らの日向や藪の中に「小禽(しょうきん)」の影が動いたという。「小禽」は雀などの小さい鳥のことで、「くりくり」との擬態語が、鳥の小さな頭の可愛げな動きを彷彿させる。冬は雀や鵯などの小鳥が人の生活の近くに姿を現す季節。日向ぼこは、それらの「小禽」とともに太陽の恵みに浴する至福の時間だ。『俳句』2024年12月号。
寒中の雀のこと。稲刈りが終わり田に餌がなくなる冬季、雀は人家近くに餌を求めて集まる。寒気を防ぐため全身の羽毛を膨らませて丸くなっているので、「ふくら雀」ともいう。かつては食用としても美味で薬効があるとされていた。

冬の日の暮方。日没とともににわかに冷え込み、あちこちに明かりが灯る。空には金星やその他の星が光りはじめる。寒々とした情景であるが、どことなく生活感が漂う。「寒暮(かんぼ)」ともいうが、「冬の暮」には柔らかな言葉の響きがある。

蟷螂(かまきり)は鎌形の前肢で他の虫を捕食する。この虫に疣(いぼ)を噛ませれば疣が消えるとの俗説から「いぼむしり」との異名がある。気が強く、大きな相手にも立ち向かう
掲句は「いぼむしり」を鳴かせてみたいと詠む。俳句では蚯蚓(みみず)も蓑虫も鳴くことになっており、「蚯蚓鳴く」、「蓑虫鳴く」などという。これらは実際に鳴くことはないが、夕暮れや夜、はかなげな声で鳴いていると想像すると、秋の哀れが増すような気がする。肉食の蟷螂は、あまりに生々しく猛々しい存在であり、鳴くと想像しても余り秋の情趣は感じないが「いぼむしり」と表記されると、秋の夜長などに鳴かせてみたいものの一つに数えるのも悪くない。「いぼむしり」という言葉の語感が活かされている作品だ。『俳句』2024年12月号。