渋柿を日に干したもの。柿の皮を剥き、細縄に吊るし、日当たり・風通しのよい軒下などに干す。三週間ほどで表面に白い粉が噴き出す。干すことで渋みが抜けて甘くなる。「吊し柿」「干柿」という呼び名の方が一般的。

渋柿を日に干したもの。柿の皮を剥き、細縄に吊るし、日当たり・風通しのよい軒下などに干す。三週間ほどで表面に白い粉が噴き出す。干すことで渋みが抜けて甘くなる。「吊し柿」「干柿」という呼び名の方が一般的。

「鮭打ち」は、晩秋、産卵のために川を溯ってきた鮭を棒や竿で打つなどして獲ること。北海道や東北地方の川で古来行われてきた漁法。網を使ったり、簗場を作って捕まえるところもある。
掲句は、鮭を打つための往生棒が太刀のように反っているという。一般に「鮭打棒」という言い方はあるが、この句では、「往生棒」という土俗的な呼び名が、武骨に反った一本の棒を想像させて味わいがある。他に用例を目にしないところから、作者の出身新潟で用いられている言葉なのかも知れない。鮭打ちを生業にする人々の心情も窺える味わいのある言葉だ。『俳句』2024年11月号。
「八手(やつで)」はウコギ科の常緑灌木。暖地の山林に自生するほか、庭木としても多く栽培される。葉が七つから八つに裂けた掌状であることからこの名がある。初冬の頃、花茎が伸びて枝分かれし、その先に黄白色の小花を球状につける。別名「天狗の羽団扇」。

晩秋に咲くように栽培される菊。地味な中菊や小菊が多い。晴れ上がった日、畑や庭の隅などに蟠っている晩菊は、花に葉にびっしりと露が降りて、鮮やかな花色を呈する。

「柊(ひいらぎ)」はモクセイ科の常緑小高木。初冬の頃に白い小さな四弁の花を咲かせる。冬の到来を知らせるそのひそやかな香りは清潔感がある。
掲句は、柊の花と折から音もなく降り続ける雨を取り合わせて、しみじみとした初冬の情感に読者を誘う作品。今日は時雨(しぐれ)模様の雨がしとしとと降り、生垣の柊の花を濡らしている。音を立てない小雨だから、却って、四辺のものがさむざむと濡れそぼつさまが強く印象される。「音無き雨は」の「は」の働きに注目したい。雨が自らを濡らしているような、そうした侘しい雨の降りようなのだ。『俳句』2024年11月号。