粉雪降る鉱塩に牛舐めし跡

「雪」とひと口に言っても、「粉雪」「細雪」「水雪」などその降り方はさまざまだ。「粉雪(こなゆき、こゆき)」は、凍てついた空気の中を降る粉のようにさらさらとした雪。

掲句は閉ざした後の牧場の光景。夏の間鉱塩(ミネラルソルト)に群がっている放牛を度々目にしたが、今は牛たちも去り、牧場は粉雪がぱらついて森閑としている。牧柵に括りつけたままになっている鉱塩に、牛が舐めた跡が窪みとなって残っている。それは、夏の間牛たちが屯した唯一の痕跡だ。平成8年作。『河岸段丘』所収。

,

コメントを残す