「冬隣」は立冬を目前にして、冬がすぐそこまで来ていることを表す季語。迫ってくる冬に対して静かに身構えるような気分がある。
掲句の「詩碑」は、昭和28年から亡くなるまで飯能に住んだ蔵原伸二郎のもので、能仁寺東端の天覧山入口に立つ。高さ3メートルほどもある詩碑で、碑面には自筆の「めぎつね」の一節が彫られてあった。〈野狐の背中に雪がふると狐は青いかげになるのだ 吹雪の夜を山から一直線に走ってくるその影〉詩人の気息がそのまま一行の詩になって刻まれているような詩碑の佇まいに、近づいてくる冬の気配を感じた。平成13年作。『河岸段丘』所収。