茶はツバキ科の常緑低木で、初冬、金色の蘂をもつ白い五弁の花をつける。芳香のある清楚なたたずまいの花。
掲句は、狭山茶の産地に住む私にとって身近な花である茶の花を詠んだ一句。茶の花は冬の季語になっているが、実際に咲き始めるのは10月頃からで、霜が降りる頃には花は生気を失う。折から関東近辺では天候が安定し、空気が入れ替わったようにからりと澄んでくる季節。「八荒(はっこう)」は国の八方の果て・国の隅々の意で、見渡す限り澄みわたった関東平野の大景の中に茶の花を点綴してみた。平成19年作。『春霙』所収。
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