稔った稲などの農作物を荒らしにくる鳥を威すさまざまな仕掛け。鳴子(なるこ)、引板(ひた)、威銃(おどしづつ)のように音を出すもの、案山子やきらきら光る紐などを張って、目に見える形で威すものなどがある。大きな目玉風の風船やビニール製の鴉なども見かける。


稔った稲などの農作物を荒らしにくる鳥を威すさまざまな仕掛け。鳴子(なるこ)、引板(ひた)、威銃(おどしづつ)のように音を出すもの、案山子やきらきら光る紐などを張って、目に見える形で威すものなどがある。大きな目玉風の風船やビニール製の鴉なども見かける。


「稲架(はさ)」は刈り取った稲の束を天日で乾燥させるための木組みのこと。遅く育ち、遅めに収穫される「晩稲(おくて)」が「稲架」に掛けられるのは晩秋の頃。ひと雨降るたびに秋が深まっていく。
掲句は、日々古びていく「晩稲稲架」の色合いの変化に秋の深まりを感じて詠んだもの。刈り取られたばかりの青みがかった稲の束は、日差しと風で2週間ほど乾燥させるのだが、時には夜雨に濡れ、また、晴天の日は露に濡れながら、徐々にくすんだ色合いを呈していく。乾燥機が普及した現在、稲架掛けの光景を目にすることは少なくなった。平成28年作。
翌年の作業に備え、また、裏作などのため、秋の取り入れが済んだ田畑を耕すこと。特に稲作においては、稲刈りの済んだ田を鋤き返して、稲藁や稲株を鋤き込む。地力を回復させるほか、雑草・害虫の防除などにも効果があるとされる。また、裏作の場合は、田畑を鋤き返して新しく畝を立て、麦や菜種などを植える準備をする。単に「耕(たがやし)」といえば春の季語。

秋の産卵期に川を下る鮎のこと。腹に卵をもち、体色が変化して鉄錆のような色になることから「錆鮎(さびあゆ)」とも呼ばれる。鮎は海に近い河口付近で生まれ、一度海に出て稚魚となり、やがて春になると川の上流へ向かって上りながら成長する。そして秋を迎える頃、産卵するために再び海を目指して川を下り河口付近で産卵する。産卵後多くは消耗して斃死する。「落鮎」には、夏に獲れる旬の鮎とは別の味わいがあるという。

「案山子(かがし)」は竹や藁を材料に人の形を作り、蓑笠を着せ田畑の中に立てて鳥獣を威し、その害を防いだ。最近ではいろいろなキャラクタ-が案山子として登場し、稲刈りが済んだ田圃では案山子祭が行われて賑わう地域もある。
掲句は秩父郡横瀬町にある寺坂棚田を訪れたときの作品。折から稲刈りの時期で、既に刈り取られた田圃と黄金色に稔った田圃がほぼ半々だった。330枚ほどもある棚田のところどころに案山子が立っていて、ふと案山子の襷に赤い文字で書かれた「祝婚」の2字が目に入った。この地で稲作に従事している青年たちの中に、この秋、皆から祝福されて結婚する人がいるのだろう。その青年の幸福や周りの人たちの祝意が、豊作の光景とともに暖かい湯気のように私の心を包んだ。平成28年作。