稲架解けてより故郷は風の国

「稲架(はさ)」は刈り取った稲の束を天然乾燥させるための木組みのこと。私の近在では、青竹などを使って田の中に組む簡易なものが多い。稲を脱穀して不用になった稲架は、木組みが解かれて取り払われる。

掲句は東村山の北山公園にある田圃の畦を歩いたときの作品。久しぶりに来てみると、あらかたの田圃は稲刈りや脱穀が終わり、稲架も用済みとなってそこに残されていた。稲が無くなった空稲架(からはさ)を、北西からの季節風が吹き抜けた。「故郷(ふるさと)」の語で私が思い浮かべたのは、稲刈りが終わって広々とした関東平野と、晩秋から翌春にかけてこの地を吹きわたる乾びて冷たい風の感触だった。令和5年作。

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