「黄落」はイチョウ、クヌギなど黄葉した葉が落ちること。公園、寺社、街路などをイチョウやプラタナスなどの黄ばんだ葉が彩るさまは、明るさとともに深みゆく秋を思わせる。
掲句は東京中野区にある新井薬師の本尊を詠んだもの。薬師如来と如意輪観音の二仏が一体に合した黄金仏であり、公開されるのは何年かに1回なので、そのときも直接本尊を目にする機会はなかった。しかし、心に思い描く本尊は、寺域やその周辺一帯の黄落の明るさにつつまれて、人々の信仰とともに存在し続ける。平成26年作。
kknmsgr
Δ