托卵の声谺して青信濃

緑の木々に覆われた夏の山を「青嶺(あおね)」といい、夏の岬を「青岬」といい、百草の生い茂った野原を「青野」などという。

掲句は長野の野辺山高原での作品。滞在中明け暮れ聞こえていたのは、遠く近く鳴くホトトギスやカッコウの声だった。いずれも托卵(たくらん)の習性をもつ鳥だ。托卵は、自分では巣を作らず、他の鳥の巣に卵を産みつけて、その鳥に抱卵・育雛させること。ホトトギスやカッコウの声が変幻自在に所を変えるのは、その習性のためかも知れない。折から高原は緑滴るばかりの初夏の装いだった。令和6年作。

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