茗荷(みょうが)の花芽のこと。茗荷(みょうが)は東南アジア原産のショウガ科の多年草。山野に自生するが野菜としても栽培される。晩夏初秋の頃、地下茎から花茎を出して、地上に赤紫色の苞(ほう)を重ねた花穂をつける。これを「茗荷の子」(夏季)といい、蕾のうちに摘んで、味噌汁の具や薬味にする。「茗荷の花」は秋季。

茗荷(みょうが)の花芽のこと。茗荷(みょうが)は東南アジア原産のショウガ科の多年草。山野に自生するが野菜としても栽培される。晩夏初秋の頃、地下茎から花茎を出して、地上に赤紫色の苞(ほう)を重ねた花穂をつける。これを「茗荷の子」(夏季)といい、蕾のうちに摘んで、味噌汁の具や薬味にする。「茗荷の花」は秋季。

「鵙」はスズメ目モズ科の漂鳥又は留鳥。平地から山地に棲み、繁殖期が過ぎて秋になると、それぞれ縄張りを主張して、高い梢などに止まり鋭い鳴き声を上げる。秋の到来を感じさせる声だ。
掲句はようやく夏の暑さから解放され、心地よい外歩きをしたときの作品。10月に入ると、朝の大気は澄み、草はたっぶりと露をふくんで日の出を待つ風情。折から、梢の鵙が夜明けを待ちかねたように声を放つ。一羽が声を上げると、続いて別の梢の鵙が声を放つ。みな、それぞれの縄張りを主張しているのだ。令和5年作。
ナデシコ科センノウ属の多年草。日本の固有種で、本州・四国・九州の山地の林下などに自生する。晩夏初秋の頃、朱赤色の五弁花を咲かせる。節がふくらんで暗紫色を帯びること、また、花が園芸植物の仙翁花(せんのう)に似ることからこの名がついた。秋の季語になっている中国原産の園芸植物「仙翁花」とは別の植物だが、雰囲気が似ていることから「仙翁花」として詠むことも可能だろう。

秋に立つ虹のこと。虹は四季を通じて見られるが、夏、夕立の後などに立つ色鮮やかな虹に比べて、秋の虹は色淡く、はかなく消えてゆく。単に「虹」といえば夏の季語。


「天の川」は太陽系を含む銀河系。地球のある太陽系は円盤状の天の川銀河の端に位置しており、地球から見ると、天の川の中心部は
濃く周縁部は淡く見える。天の川が、一年中で最も高い位置にかかるのは初秋の頃。
作者は第二次世界大戦も戦後の混乱期も直接の経験はない世代だが、「ずぶ濡れ」との端的な形容には、既成の社会の枠組みなど身を守ってくれるはずのものがことごとく消失した戦後の混乱期の様相が生々しくよみがえる。その形容は、戦後を生きてきた人たちが等しく感じる時代の手触りではないだろうか。『俳句』2024年9月号。