村々を山がへだてて良夜かな

「良夜」は陰暦8月15日の中秋の名月の夜をいう。鮮やかに中天に上る月を仰ぎ、清明なる夜を楽しむ。

掲句は、長野の野辺山高原での作。月下に佇みながら、現に滞在している南牧村と周辺の原村、川上村、南相木村などの南信の村々やそこに生活する人々、それぞれの村を隔てている山の連なりを思った。隣接していながら迂回しなければ行き来ができず、また、山々に遮られて直接遠望もできないというのは、山国特有の生活感覚なのだろう。清らかな月明かりが、私の想像を膨らませてくれたのだと思う。令和4年作。

,

コメントを残す