書肆の灯の中のひとりとなりて秋

秋は暑い夏が過ぎて冬へ向かう途中の爽快な季節。ただ、初秋の8月は残暑厳しく、また晩秋の頃は肌寒さを覚えるので、快適に過ごせる期間はそう長くはない。空気も水も澄み渡り、山々は紅葉する。

掲句は、書肆(しょし)の店内でしばらく客の一人として過ごす自分自身を詠んだもの。店内で過ごすのは夕暮時の僅かな時間だが、誰にも縛られずに好きな本を手に取ってめくるのは、至福の一時だ。店を出ると外は既に暗くなっていて、対照的に、しばらく過ごした店内の灯火の明るさが心に残る。令和5年作。

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