「青田」は稲が生長して、まだ穂が出ない状態。一面の田を覆うその瑞々しい青さは、本格的な夏の到来を思わせる。
掲句は一面の青田を前にして、風に波立つ稲の葉擦れの音に耳を澄ませているところだろう。「呱々(ここ)のこゑ」は生まれたばかりの赤ん坊の泣き声。一方、「壮年のこゑ」は作者自身の「こゑ」だろうか。風に騒立つ青田の瑞々しさと、日々生長する稲の逞しさを同時に感じさせる措辞。自らを「壮年」と断じた作者の老い難き詩情が爽やかだ。『郭公』2024年9月号。
「青田」は稲が生長して、まだ穂が出ない状態。一面の田を覆うその瑞々しい青さは、本格的な夏の到来を思わせる。
掲句は一面の青田を前にして、風に波立つ稲の葉擦れの音に耳を澄ませているところだろう。「呱々(ここ)のこゑ」は生まれたばかりの赤ん坊の泣き声。一方、「壮年のこゑ」は作者自身の「こゑ」だろうか。風に騒立つ青田の瑞々しさと、日々生長する稲の逞しさを同時に感じさせる措辞。自らを「壮年」と断じた作者の老い難き詩情が爽やかだ。『郭公』2024年9月号。
台風や秋の長雨により増水した河川や湖沼が、濁流となって岸を越えて流れ出ること。ときには堤防が決壊し、溢れ出た水が田畑や人家を水浸しにする。近年ではこのような外水氾濫のほか、市街地に降った雨が、下水道の排水能力を超えてしまって溢れ出る内水氾濫が、都市型の水害として注目されている。出水(でみず)の季節は年に3回あり、俳句で単に「出水」といえば夏の梅雨出水をさすが、ほかに融雪期の「春出水」と台風や秋雨による「秋出水」がある。

大根は日本人に最も馴染み深い野菜の一つで、根菜類の代表。大根の種を蒔く時季には春蒔きと秋蒔きがあるが、俳句では「大根蒔く」は秋季に分類される。8月下旬から9月上旬の頃、畑の穴ごとに5、6粒をばらまき、1センチ程度の土をかける。
掲句は大根の種を蒔いている自らを素材にした作品。「手を見つめ掌(てのひら)見つめ」のリフレインから、自らの手の動きを見つめながら大根を蒔く作者の濃密な時間がよみがえる。「掌(てのひら)」といえば、「手」よりズームアップして対象を見つめている感じがあり、「手」「掌」と畳み掛けたところも、作業の動きが見えてきて効果的だ。『俳句界』2024年9月号。
日本等原産のキジカクシ科ツルボ属の多年草。全国の日当たりのいい野原、畑、道端の草地などに自生。初秋の頃、花茎を伸ばして薄い紅色の花を総状につける。別名の「参内傘(さんだいがさ)」のほか数多くの地方名がある。歳時記には掲載されていない。
