「土用」の起源は古代中国の陰陽五行説に由来する。五行説では、自然界の木・火・土・金・水の5つの要素のうち、木気は春に、火気は夏に、金気は秋に、水気は冬に割り当てられ、土気は季節の変わり目に割り当てられた。そのため、「土用」は春夏秋冬の各季の終りに18日間程度存在するが、一般に「土用」と言えば夏の土用(7月20日~8月7日頃)を指す。一年のうちで最も暑い季節。この期間を暑中と呼び、暑中見舞いを出す時期でもある。

夏、朝のうちの涼しいこと。厳しい暑さの続く季節、朝の涼しいひと時は至福の時間だ。「朝涼」以外にも「夕涼(ゆうすず)」「晩涼(ばんりょう)」「夜涼(やりょう)」など涼しさの感じられる時間帯ごとに、「涼」の一字を添えて季語としている。

「涼し」は夏の季語。暑い夏だからこそ人々は涼を求め、涼に敏感になり、涼しさを愉しむ。
掲句は、「迎え盆」とも「盂蘭盆(うらぼん)」とも言っていないが、盂蘭盆に際して、仏の父母を家に迎えるところを詠んだものだろう。亡き父母が来る気配を草木の葉擦れに感じ取っているのだ。このとき、作者の脳裏には、〈風が吹く仏来給ふけはひあり 虚子〉があったのかも知れない。いずれにしても、季語の使い方が自在で的確だ。父母への追慕の思いが、ひとすじの涼気となって読者に届く。『俳句』2024年8月号。
イネ科の多年草。日本各地の道端、荒地、畑の周りなどに自生する。「日芝(ひしば)」は日向に出る芝の意味。晩夏初秋の頃、細い花序の枝を出して小さな花を咲かせる。類似の草に「雄日芝(おひしば)」があるが、こちらは「雌日芝」に比べて茎が扁平で太い。手元の歳時記には、「雄日芝」の方が掲載されている。

梅雨が明けた後、空が明るく晴れ渡り、南東方向から吹いてくるさわやかな季節風のこと。暗い梅雨空に吹く「黒南風」と対になる言葉であり、盛夏の明るく晴れやかな気分を感じさせる。
