ヨーロッパ原産のキキョウ科ホタルブクロ属の多年草。大正年代に日本に移入され、現在では各地で野生化している。夏、真っ直ぐに伸びた茎の上部に花序を出し、紫色の花を多数穂状に咲かせる。漢字表記では「旗竿桔梗」。なお、歳時記には載っていない。

ヨーロッパ原産のキキョウ科ホタルブクロ属の多年草。大正年代に日本に移入され、現在では各地で野生化している。夏、真っ直ぐに伸びた茎の上部に花序を出し、紫色の花を多数穂状に咲かせる。漢字表記では「旗竿桔梗」。なお、歳時記には載っていない。

雀鷹(つみ)の巣立ちは7~8月頃。雀鷹は日本最小の猛禽類で、鳩くらいの大きさの鳥。近隣の公園や雑木林でもキィーキキキキキッとの特徴ある節回しの声から、その辺りに雀鷹が棲んでいることを知ることが多い。
掲句は、東京練馬区の石神井城址を散策しての作品。1477年、太田道灌に外城を攻め落とされた豪族・豊島泰経は、石神井城を捨てて敗走し、足取りは不明のままだという。その後は城として使われた形跡はなく、現在は内郭の空堀・土塁が石神井公園内に残るのみだ。その場に佇みながら、廃城として経過した五百余年の歳月を思った。空堀や土塁の跡の森には、その年も頻りに幼鳥らしい雀鷹の鳴き声がしていた。令和2年作。
樹上などの巣の中で、親鳥の抱いた卵は10~20日ほどで孵って雛鳥となる。雛鳥は、親鳥のしきりに運んでくる餌を食べてしだいに羽毛も生え揃い、翼も体力も整って、晩春から初夏・仲夏にかけて次々と巣を離れていく。雛鳥は、巣から離れても、親鳥に見守られ、餌をもらいながら成長していく。


インド原産のウリ科の一年生果菜。中国経由で日本に渡来し、古くから食材として栽培されてきた。夏に同株に黄色の雌花・雄花をつけ、初秋の頃淡緑又は緑色の果実が生る。味は淡白で、吸い物・煮物・あんかけなどにする。切らずに冷暗所に置いておけば、冬まで保存ができる。

今年も暑い夏が巡ってきた。危険な暑さなので外出を控えるようになどと言われると、自ずからクーラーをつけたまま家に籠るようになる。こんな時に思い出されるのが、元禄時代の次の付け合いだ。付け合いとは、連句などで、すでに示されている句に対して、それに応じる句を付けること。
市中は物のひほひや夏の月 凡兆 あつしあつしと門々の声 芭蕉
『猿蓑』所収の芭蕉、去来、凡兆による三吟歌仙「市中は」の巻の出だしの部分。凡兆は当時京都に住んでいた。「市中(いちなか)」の発句は、夏の夜の街中の饐えたような雑多な匂いを描き出して、庶民生活の機微を捉えた。芭蕉の付け句は近隣の人々の「あつしあつし」との声に焦点を当てて、夏の夜の市井の情景に奥行きと臨場感を与えた。両人の呼吸がぴったり合った付け合いということができるだろう。
夜になっても昼の暑さが冷めやらぬので、クーラーも扇風機もない当時の人々は、門前で涼んだのだ。門々で「あつしあつし」と声が起こるのだから、夜になっても昼間の暑さの抜けない熱帯夜だったのだろう。門涼みをしながら、近隣の人たちの間で、様々な四方山話が交わされたであろうことが想像される。
今の生活ではどうだろう。熱帯夜ともなれば、誰もが冷房の効いた室内で過ごすので、帰宅を急ぐ人が時々道を行くばかりで、人影は疎らだ。そんな夜は、冷房の効いた部屋でひとり静かに過ごしながら、元禄の世の夏の人臭い市井の有様を懐かしく想像することにしている。