「卯の花腐し(うのはなくたし)」は、初夏、卯の花の咲く頃降り続く長雨のこと。
掲句は、マリー・ローランサンの絵画と、卯の花を腐しながら降る初夏の明るい雨を取り合わせた作品。マリー・ローランサンはフランスの画家で、パステルカラーで婦人や少女たちを少し眠たげに優美に描く画風で知られる。「マリー・ローランサン青し」との大胆な断定は、透明感のある青い背景の肖像画などを想像させ、新緑の草木を濡らす折からの「卯の花腐し」と調和する。『俳句界』2024年8月号。
「卯の花腐し(うのはなくたし)」は、初夏、卯の花の咲く頃降り続く長雨のこと。
掲句は、マリー・ローランサンの絵画と、卯の花を腐しながら降る初夏の明るい雨を取り合わせた作品。マリー・ローランサンはフランスの画家で、パステルカラーで婦人や少女たちを少し眠たげに優美に描く画風で知られる。「マリー・ローランサン青し」との大胆な断定は、透明感のある青い背景の肖像画などを想像させ、新緑の草木を濡らす折からの「卯の花腐し」と調和する。『俳句界』2024年8月号。
イラクサ科カラムシ属の多年草。本州から四国・九州の山野に自生する。昔は繊維を採るために栽培したが現在では野生化している晩夏初秋の頃、淡緑色の花穂をつける。雌雄同株で、茎の上部につくのは雌花、また、茎の下部につくのは雄花。茎(から)を蒸して皮をはぎ、繊維を採ったことからこの名がある。

「萱草」はユリ科の多年草で、原野や土手などに自生し、晩夏の頃、百合に似た橙赤色の花を咲かせる。
掲句は、屋外でペンを走らせているところを詠んだもの。「なだれ来る」の措辞から、土手などの傾斜地に群がり咲く萱草の花の明るさと量感が、一読眼裏に広がる。一本のペンと群生の花萱草が相対しているような印象がある。『俳句』2024年8月号。
春、南方から渡ってきた燕は、人家の梁や軒下、駅の天井、橋下などに、泥土に藁、枯草などを混ぜて椀形の巣を作る。古い巣を修繕して用いることもある。巣に産みつけられた卵は、親鳥に抱かれ半月ほどで孵化し、その後約3週間で巣立つ。燕の子育ては1年に2回行われることが多く、おおむね1番子が育つのは春、2番子が育つのは夏となる。「燕の巣」は春季に分類されている
