「緑さす」は「新緑」の傍題。夏の到来を告げる清新さを感じさせる言葉だ。初夏は若葉の溌溂とした緑が四辺に満ちる季節。
掲句は、北海道富良野の後藤純男美術館を訪れたときの一句。6月の北海道は新緑の季節で、美術館の窓から、青々とした大地の起伏が眺められた。生前、北海道の自然に惹かれて富良野にアトリエを構えた後藤画伯だが、最後に選んだ画題が富士だったというところが興味深い。「上手く描いただけでは意味がない。そこに祈りの心がなければ・・・」との画伯の言葉を思い起こしながら、暫く絵の前に佇んだ。令和5年作。


