夏に焚く炉のこと。北国や標高の高い山間部では、立夏を過ぎても朝晩冷え込んだときや雨が降り続いて小寒い日などに、夏炉を焚くことがある。山の宿や登山小屋で囲む夏炉は、旅情を深めるものの一つ。単に「炉」といえば冬の季語。


夏に焚く炉のこと。北国や標高の高い山間部では、立夏を過ぎても朝晩冷え込んだときや雨が降り続いて小寒い日などに、夏炉を焚くことがある。山の宿や登山小屋で囲む夏炉は、旅情を深めるものの一つ。単に「炉」といえば冬の季語。


「啄木忌」は歌人石川啄木の忌日で、四月十三日。啄木は、啄木調といわれる生活感あふれる愛唱性のある短歌を遺して、明治四十五年のこの日、二十六歳で死去した。
掲句は、残業の多い作者の日常に加えて、代用教員や新聞記者をしていた啄木の面影が彷彿する作品。「塩むすび」という質素でありながら人の温もりを感じさせる食べ物が、作者の啄木に対する敬慕の思いを浮かび上がらせる。『俳句四季』2024年7月号。
晴天の日に、遠くから見たとき砂地や舗装道路に水たまりがあるように見え、物の倒立像が見えたりする一種の蜃気楼現象。空気の温度差が生じることで、密度の濃淡ができ、屈折した光が路面に反射することにより生じる。古来、武蔵野の逃水が有名。

夏、大地付近の空気が熱せられて生ずる上昇気流により、積雲(綿雲)や積乱雲(入道雲)が現れる。青空を背景に湧く真っ白な雲は、夏という季節の生命力を感じさせる。蒸し暑い夏の午後に、急な雨をもたらすのが積乱雲で、歳時記には「雲の峰」として別に項目建てされている。

「花菖蒲」はアヤメ科の多年草。観賞用に水辺や田圃などに栽培され、多くの品種がある。大振りの艶麗な花から楚々とした小振りの花まで、趣もさまざまだ。
掲句は東村山の北山公園内にある菖蒲苑での一句。木道を歩きながら、紺や紫紺、白、茶色、斑入りなど目移りしそうなほど数多くの花菖蒲を見て回った。咲くまでにまだ数日かかりそうな固く尖った蕾、花弁がほぐれて咲きかかっている蕾、盛りを過ぎて傷んでいる花などを見ているうちに、咲くというのは、花にとって、身の力を抜くことではないかとふと思った。令和5年作。