春になってからごく薄く張る氷のこと。春めいてきた後、寒さが戻って氷が張ることがある。昼頃になれば解けて、いくつもの薄い断片に分かれ、いつしか消えてゆく。淡くはかない印象がある。

春になってからごく薄く張る氷のこと。春めいてきた後、寒さが戻って氷が張ることがある。昼頃になれば解けて、いくつもの薄い断片に分かれ、いつしか消えてゆく。淡くはかない印象がある。

春は最も鳥の目につく季節。草木が萌えはじめ、春の明るい光が野山に満ちてくると、いろいろな鳥が姿を見せるようになる。そんな中で鶫(つぐみ)は秋に群れをなして日本に渡ってくる鳥の一つで、春が深まる頃まで日本に留まる。単に「鶫」といえば秋の季語であり、冬や春に見かける鶫を詠む場合は、「冬鶫」「春鶫」などと表現することが多い。
掲句は麗らかな日が降り注ぐ畑で土中の虫などを漁っている鶫を詠んだ作品。鶫は冬鳥として日本に渡ってくるが、すっかり馴染んだ日本の地に溶け込むようにして日々を過ごす春の鶫には、捨てがたい趣がある。その声は、残り少ない日本での日々を惜しんでいるようでもある。平成31年作。
雪をころがしてかたまりを二つ作って上下に重ね、達磨のかたちにしたもの。木の葉や木っ端などで目鼻をつける。雪遊びの中で最もポピュラーなものの一つ。

樹木や竹が降り積もった雪の重みに耐えかねて折れること。松・杉・檜などの常緑樹ばかりでなく、冬に葉を落とす梅や桜も雪の重みで幹や枝が折れることがある。街路樹や庭木に添え木をしたり、縄で雪吊りをしたりするのは、雪折れの被害から守るための対策。

廣瀬直人忌は平成30年3月1日。俳誌『白露』を主宰し、自然詠を本領とする多くの作品を残した。廣瀬家の前庭の南には、今も朴の木が立っている。
掲句は、大きな尖るような芽を掲げている朴の木を見上げていての作品。私の旧師であり、内剛外柔のその柔和な笑顔がふと目に浮かんだ。逝去後3年が経過していた。令和3年作。