笹搔きの牛蒡の匂ふ春隣

「春隣(はるどなり)」は冬も終わりになる頃の春の気配を捉えた季語。「春近し」ともいう。1月の下旬になると、降霜や結氷など夜から朝にかけての寒さは相変わらず厳しいが、寒さの緩む日も交じるようになる。日の光は日一日と力強さを増してくる。

掲句は、妻をアシストして自宅の厨房に立つようになってからの作品。「笹掻き(ささがき)」はゴボウなどを笹の葉のように細く薄くそぎ切ること。妻が真水に削ぎ落す牛蒡の匂いが厨房に漂っていた。健康な食欲をそそる匂いだった。いわゆる「台所俳句」に属する作品といえる。令和4年作。

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