父情とは暗がりに立つ一冬木

冬木は、落葉樹、常緑樹のいずれにもいうが、特に葉を落とし切った落葉樹には冬木らしい趣がある。

掲句は近くの疎水べりの枯桜の趣に晩年の父の面影を重ねてできた一句。「父情」は一般的な用語ではないが、〈冬ふかむ父情の深みゆくごとく 龍太〉が念頭にあって思い浮かんだ言葉。生前の父の心を十分汲み取れなかった自分自身を、反省を込めて振り返る思いもあった。平成29年作。

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